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マスターが教えてくれたこと(2)
システマのマスターが教えてくれたこと。

セミナーの時、通訳の方や、インストラクターの方に通訳していただいて、マスターへ質問し教わったことをお伝えする第2弾。

前回同様、「違うんじゃない?」と思われたら、コメントをお寄せいただいても、読み飛ばしていただいても構いません。
今回の質問内容も非常に個人的でしたが、マスターは丁寧に答えてくださり、トレーニングの核となる大きなアドバイスとなりました。


* * *
2016年のセミナー時、ヴラディミア・バシリエフに質問した、「顔の周辺で感じる恐怖への対処」。

私の視力は、現在は手術を経てよく見える状態ですが、7年ほど前まで極度の近視だったため、普通の人より目の網膜(眼球の裏の膜の部分)が薄く、ちょっと手が当たったりこすったりした程度でその膜が破れ、剥がれてしまいます。

花粉症でかゆくてこすりすぎて1回、システマのトレーニングで2回、人の手が当たり、裂け目が入って手術をしたことがありました。そのため、大勢でトレーニングする時は目を守るためのダテ眼鏡が欠かせません(時々忘れます…)。

眼鏡が壊れるから外した方がいいとよくおっしゃっていただくのですが、それでも外さないのは、眼鏡自体は壊れても構わないからなのです。といっても、眼鏡が凶器になるから外すべきだ、といわれたこともあり、そんな時はワークを抜けるようにしています。

今回、ブラッドに質問する前に、マックスに尋ねたことがありましたが、その時は「ゴーグルをした方がいい」というアドバイスでした。
実際、ゴーグルをされている方もいますし、探したこともあるのですが、どうも目の周囲に食い込む感じが苦手で購入には至らず、眼鏡で可能な範囲で参加しています。

さて、ブラッドに質問したのは、「過去に眼のケガをしたことで、顔の周辺に拳が来ると怖くて動けなくなってしまう。どうしたらよいか」というものでした。

ブラッドは、うなずいて

「私の眼を見て」

といいました。

そして、自然な動作であの大きな拳を作り、自分の顔の横まで引き上げ、私に向かって撃ちおろす格好をしました。
ブラッドの拳は私の顔を狙っていました。なぜそれが解ったかといえば、拳をガン見したからです。

ブラッドはおそらく180㎝以上、私は150㎝、この身長差で対峙すると、グリズリーとアライグマ。

拳がスッと上がった瞬間、恐ろしくて文字通り固まってしまいました。
「眼を見て」といわれて見たら、グレーがかったブラッドの眼が、一瞬午後の陽射しに輝き、凄く綺麗だ、と思った次の瞬間、腕が上がる気配を感じて拳に目線を移してしまい(ヤバい、ヤバい)と立ちすくんでしまったのです。

周囲では普通ににぎやかにトレーニングが行われており、その合間を縫って質問したので、特段特殊な状況でもありません。ブラッドも本気で殴り合うぞといったわけではありません。私が目線を移して怯えたことも、彼はすぐ理解して、

「目を見なさい、目を」

と再度、声をかけられました。
恐る恐る拳から顔、顔から目に視線を移しましたが、緊張で上がった肩は戻りません。

「もう一度」

一度腕を降ろし、再びすっと拳を構えるブラッド。
視界の端に腕の動作が入るのでどうしてもわかります。
目を見ろ、と言われているんだから目だけ見なくては、と圧倒的な存在感を前になんとか目だけ見るように辛抱しました。

再びグレーがかったブラッドの眼差し。そこから目を離さないように集中します。
すると、さっきはあんなに怖かった拳が不思議と遠くに感じられたのです。あの恐怖が嘘のように。

ブラッドの眼からは何の感情も読み取れず、空虚な感じさえしましたが、目をみているとブラッドが「何をしようとしているのか」がわかりました。嘘つけ、と思われるかもしれませんが、ブラッドは拳を撃ちおろそうとしていたわけではありませんでした。

1回目、「意志のわからない拳」を見たせいで、ブラッドの意志はそっちのけで拳の脅威に硬直し、身動きがとれなくなりましたが、2回目にブラッドの目だけを見たところ、拳の脅威は遠くに感じたのです。

ブラッドは私の様子にうなずくと、踵を返してトレーニング中の大勢の人の中へ消えていきました。

* * *

つまり、トレーニング中は「相手の目を見ればいいのか」というと、そういうことではないように思いますが、目を見ただけでこんなに自分の心身のポジションが変わるのか…と大きな発見があった出来事でした。トレーニング中、相手の全体を見ることはあっても、インストラクターの指示なく、見つめ合って動くことってあんまりないと思います。

確かに目だけ見るより、全体を見た方が相手の動きを感じやすいと思います。しかし、勝手な推測ですが、顔を狙われることが怖い、と私がいったので、ブラッドは顔に照準を合わせ、それでも冷静に対応する方法を教えてくれたのではないかと思います。

この教え、結構忘れがちなのですが、ナイフや銃を使ったワークの時、特に気をつけています。
また、自分が相手を突く立場の時も、「相手は自分のどこを見ているか」を感じるようにしています。ナイフだけ意識している人は、ナイフにばかりに力が入り、小手先で何とかしようとしてこちらの全身に対するアクションは薄い印象です。ストライクなど素手のトレーニングでも同じかもしれません。

システマを始めて間もないと、なかなか、皿のような目で相手の全体をみることに馴れませんが、それでも、「攻撃しようとしてくる手先」だけでなく、相手の全体、時には目を見て動きを感じることができたら、結構変わってくるのではないでしょうか。

いや、あんたそんなこと言って全然できてないじゃない、と言われそうですけど(笑)そういう時は、我を見失っているものと思われますので、指摘してください(笑)

Спасибо!ブラッド!




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#システマ #護身術 #ロシア武術 #Systema #Система
[ 2019/06/26 15:35 ]

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マスターが教えてくれたこと(1)
システマのマスターが教えてくれたこと。

セミナーの時、通訳の方や、インストラクターの方に通訳していただいて、マスターへ質問し教わったことがいくつかあります。
それを少し、お伝えしたいと思います。

言葉足らずで「違うんじゃない?」と思われたら、コメントをお寄せいただいても、読み飛ばしていただいても構いません。
私自身がマニアックで個人的なことばかり聞いてしまうので(笑)
ワークの本質とかけ離れている時もあるかと思いますが、何卒お許しください。


***
第1弾は、ヴラディミア・バシリエフに質問した、「くすぐったがり屋へのマッサージ方法」。

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2015年大阪セミナーにて、ブラッドと

2015年の来日セミナーの際、ブラッドにマッサージをくすぐったがる人へどうマッサージしたら良いか尋ねました。
マッサージの方法は、システマのスティックマッサージではなく、マッサージする側が、足で横たわっている人の全身を踏み、ほぐす方のやり方です。

当時、家族(男)から、「マッサージして」といわれて、辛いという箇所を踏んだり揉んだりすると、緊張が強くてくすぐったがられ、「もういい、やめてw」とよく言われました。
そういう箇所に限って、凝りやハリが強いので、こちらとしては何もできずに終わるのは無念です。

ブラッドに尋ねたところ、こう答えてくれました。

「お腹からマッサージを始めるといい」

くすぐったがられるのは、主に足(ふくらはぎ辺り)だったのですが、
痛みへの緊張、恐怖が強いからそうなるので、お腹からほぐしてあげるとよい、とのことでした。
マッサージの相手はシステマをやっていない人だったので、突然凝っていないお腹からほぐすのはより勇気が必要だったため(家族はくすぐったがりでした)、結局お腹からマッサージを始めたことは未だないのですが、システマのトレーニングの時に、やってみたいと思います。

Спасибо!ブラッド!




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#システマ #護身術 #ロシア武術 #Systema #Система
[ 2019/02/17 03:35 ]

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